8月 おもと懇話会

21日(日)に毎年恒例となっている、おもと懇話会が松川館で行われました。
今まではおもとの作について会員の皆さんで意見を出し合うという形式で行っていましたが、今年は東京支部から近藤氏を講師に招いて「病虫害防除の考え方」というテーマに基づいた講習会という形式で行われました。
講習の内容(箇条書き)
•おもとは病虫害に弱いのか
→作場、作る品種によって異なるが、基本的には他の植物と比べて強いと思う。

•なぜ発生するのか
→始めは教科書通りに防除をするが、慣れからの慢心による発生が多いように見受けられる。(教科書通りに防除していれば基本的には問題ない)

•完全防除するには
→おもとを作らないのが究極の答え、という冗談も交えながら。

•逆に大発生させるには
→近藤氏のイネいもち病用殺菌剤のスクリーニング試験で用いた方法
「窒素過多、日甘で徒長気味に管理」
「いもち病菌の胞子を大量に作り接種」
「その後湿度100%のムロの中で一晩管理」
安定的に大発生させることは難しいそうです。

•病虫害発生の三大要因→対策
「宿主(おもと)」
→丈夫な葉、根を作る。これにより一定の抵抗力が付く。
「環境(作場、植え込みの環境)」
→棚周りをきれいに、鉢内水分のバラつきをなくす(しっかりと抜き水)等。
「病原(病原菌、害虫等)」
→やはり棚周りをきれいに、病原の供給源を断つ等。
三大要因が重なった時に病虫害が発生する。まずは対策法を実施することが先決、そのうえで薬剤散布を。

•おもとの病気に関しては「糸状菌(カビ)」「細菌(バクテリア)」「ウイルス」が考えられる。
→糸状菌は赤星病等、発生には水滴が必要なので葉が湿っているような環境で発生しやすい。(酵素の働きに効くSH阻害剤ダコニール、オーソサイドなどを軸に、バイトレン、ベンレートなどをローテーションで。)
→細菌は青煮え等、傷から入ることが多く、自ら根を降ろす為に破った傷から入ることも。(特に気を付けるのは夏場で、アグリマイシンやマイシンが有効)
→それぞれに応じた殺菌剤の散布を。殺菌剤を混ぜて使用する場合、同じ作用のものを混ぜても意味がない。

•おもとの害虫に関しては主に「スリップス」「カイガラムシ」「ナメクジ」その他に「ヨトウムシ」や「ハダニ、ネダニ」も考えられる。
→出る時期に予防をすることが大事。ナメクジは根気よく見つけたら捕る。
→水和剤が使いやすく、大きな鉢のものには粒剤も有効。

•同じ薬剤を連続して使わずにローテーションすること。
•消毒の際は必ず展着剤を使う。
•製剤の種類として、フロアブルは単価が高いが計量が容易で葉が汚れにくいのでお薦め。

この他にも推奨レシピや参考になるお話がまだまだありましたが、このような面白い内容でした。

「農薬については昔とった杵柄ですが」と始めにおっしゃっていましたが、具体的で分かりやすく、プロフェッショナルな講習をしていただきました。
近藤様、ありがとうございました。

展示品、乾杯の様子

コメント