2月5日 富貴錦

『富貴錦(ふきにしき)』
昭和15年頃に愛知県の太田角次郎氏が「大車」×「出世鏡」により作出した。
その後、業者を通じて命名登録者である榎本敏一氏に納まり、同氏が20年もの間、門外不出で培養に打ち込み、完全覆輪が完成した後の昭和33年に登録された。

本種はいわゆる玉輝型で、今も銘鑑の最上段に位置している。
葉姿は中立ち葉で、葉幅がひいて全体的にふっくらとするが葉先は尖る。
なんといっても最大の特徴は艶消し地の紺性の強さで、続 原色おもと図鑑によると「おもと中で最も紺性が深い、というほどよい紺地」とある程である。
覆輪も雪白でそのコントラストは見事である。
芸が進むと覆輪が糊をひいて、紺地も白粉を叩いたような浮き地になる。
葉芸としては甲竜、熨斗葉、雅糸竜で低く現れるので品も良い。

「大車」×「出世鏡」同じ交配に『月光冠』があるが、同じく玉輝型で「出世鏡」がそのヒントなのかもしれない。

コメント