以前に作成中…のまま埋もれてしまったので改めて書きます。
『天照海(てんしょうかい)』
明治22年に奈良県の米田周太郎氏が作出し、同25年に大阪府の大谷政平氏が買い出し『天照海』と命名した。
葉姿は腰折れが良く、地合いは光沢があり紺性が強い。
平葉に雪白の大覆輪をかけ、やがて総雅糸竜と長い剣葉を現す。
縞甲系には天然縞甲と地変わり縞甲があり、本種は縞甲系の中でも天然縞甲に属する。(正確には翠光群雀系という関白や天賜海のように葉先に群雀系の名残を残すものも含まれる。)
天然縞甲とは天然生えとも言い、狙って作出できないで偶然に生えるからこう呼ぶのである。平葉に甲竜、雅糸竜を現し縞甲竜系の原型をとどめている。(天照海、宇宙宝、太平洋など。)
地変わり縞甲とは晃明殿や青海波から最近の大雲海、海吉など葉肉があり雅糸竜の強い品種のほとんどは地変わり縞甲に属するのであろう。
しかし、奥谷さんの本では天照海も変わり縞甲としているし、区別の明確な基準がないので難しいところである。麒麟冠、錦麒麟なども縞甲系に属していて類似品がないのでやはり天然縞甲になるのであろうか。私から見れば黒潮も至芸に至るまでは平葉に甲竜で類似品が少ないので天然縞甲だと思う。
もう一つ、縞甲系には名前に海を連想させる文字が入ることが多い。(波、海、潮、洋など。)
今年新登録となった『海吉(みよし)』は吉田縞甲と呼ばれていたもので、吉田氏の吉と縞甲の海から『海吉』と名付けられたそうである。
これは素晴らしいネーミングセンスであると思う。なぜなら海吉をミヨシと読むのは難しいがその際の説明が実に簡潔で同時に由来まで覚えられるからである。
最近はその海吉、太陽、大雲海などを中心としてまた縞甲系が盛り返しそうな雰囲気もある中で、いわゆる天然縞甲の古くから存在し特徴あるものは、また多くの人に作られて見直されるようになれば面白いと思う。
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