『天錦章』
日月星に縞の入ったもの。
明治35年頃、三重県のほうで日月星に黄縞が現れ、話題を呼んだという。
それを藤田氏が買い出し、恒川氏に渡り、大阪の塚原大輔氏が命名し、昭和9年に登録された。
縞柄が入ることにより、全体が黄色みを帯び分かりやすい綺麗さがある。
縞柄がはっきり全体に入った美術木は中々見る機会が少ない。
縞ものは基本的にはコートメ(地味目)で全体に満遍なく入ったものが最上なのですが、薄葉や大葉、獅子系などのような全体の容姿から観賞する物は少しくらい派手なものの方が出来上がった時に分かりやすさがあり、魅力的だと思います。
では、何故派手な物が嫌われるかと言うと、縞柄が安定せず、派手になってしまって培養がうまくいかないことが多かったり、上がってきた子も派手で培養しにくいことが多いということが大きな要因だと思います。
羅紗系になると特に実生では、地合いや紺性などその木の持つ素質が見えることが第一条件ですから、縞も出来るだけ地味で、覆輪に変わる為の要素として含まれている程度が理想だと思います。しかし、縞覆輪や縞ものはまたそれとして違った魅力も見えてきますし、一概に何が良いとは言い切れません。決まり物の縞覆輪などは少し派手目なものは一般的な分かりやすさ、コートメなものはよく見ると縞が見えるという侘び寂び、そして希少価値という観点からも非常に価値のあるものだとも思います。
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