12月22日 おもとの基本

2008年11月の日本おもと協会の会報を読んでいたら、長野県の名作者、笠原威三氏の書いた文章の中に、先代園主である祖父が残したおもとをやる上での心掛け5箇条というものを見つけました。

  1.  無理、無茶、無駄をするな。
  2.  一に培養、二に銘柄、三に信用のある業者の選定。
  3.  棚の構成は羅紗、薄葉、獅子、大葉をバランスよく常に作ること。人気は回る。
  4.  大欲は無欲に似たり、大欲は大損の元、欲をかけば恥をかく。
  5.  実生は棚割合では最高でも2割までにする。あくまで決まり物中心でいくこと。

なるほど。
1つ目は私が卒業した某大学の創始者が効率改善の方法として、「ムリ、ムダ、ムラを省く」という言葉を残しているのと同じことでしょう。
つまり培養に置き換えると、堅作りするのが一番効率が良いということだと思います。

2、3、4番目は心構えですね。

5つ目、これも今改めて見直すべき大事なことだと思います。
実生をやる(作出も培養も含めて)には指標が頭の中にないといけません。
昔から銘品となっている品種はどれも素晴らしい芸を持っており、それが新しい品種を見るうえでの基本となります。
生えてきた実生を見て、これが優れているものなのかどうかも分からない、と言うようでは何を作り出そうとしているのか、という話になってしまいますし。
私も他人事ではなく、最初からの心構えとして、まずは決まり物で分からないものが無いくらいにしたい!と思って勉強しています。
ただ、実生が好きなことはどうしようもありません。
そこは両立でしょう。

とにかく、これから新たに若い世代の趣味者を増やしていかなくてはならない立場としては、まさにこの5箇条を自分の中にもしっかりと持って、多くの新しい人達に伝えていきたいと思います。

祖父については、私が4才の頃に亡くなってしまったので、教えられたことは記憶にほとんど残っていません。
とにかく生粋の商売人だったということは色んな人から聞いていたのですが…
しかし、今になってこういった文献などから色々教えられるのですから、文章、言葉というのは凄いですね。
死んでも尚、人に何かを伝えられる唯一の方法です。

祖父は
「この握り飯一つでも商売してみせる」
という言葉も人伝いに残しています。
その商売人としての志は、私がしっかりと引き継いでいきたいと改めて思いました。

外気温 △6−1℃
室内気温2−12℃
鉢内温度3−13℃
夜は温度が下がりすぎないように暖房設備を使っています。
灌水なし。

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