絶種になった【栄松】【冠松】千代田羅紗について書いてみる

お暑うございます。omoto-boyでございます。

7月は涼しくて過ごしやすい日が続きましたね。
万年青は動きが例年よりも遅いようで、夏〜秋繰りに期待している方が多いと思います。

ここにきて急に真夏がきてしまったので、水やりに迷うという人も多いと思います。

うちでは夏場、表面が乾いたなーと思ったら、半日我慢してから水やりをするようにしています。
ほとんど夕方ですが、朝の場合は日覆いをして、夕方の場合は日が落ちてから水道水で抜き水をして、その後ワラ灰の灰汁水(薄め)に微量要素とリン/カリ液肥を混ぜて振り水強で施すようにしています。(涼しい日は窒素10~20ppmで液肥も)
※芋吹きにはやっていません。


栄松という幻の千代田羅紗

作出者は現在の三河支部、実生支部の支部長をしておられるSさん。
実親は♀が賀松で♂ははっきりしないが大福丸ではないかとのことです。
現在の当園主が生え2才くらいで買い出し、故笠原(右)氏に納めました。

この頃に関東実生会に展示したところ、会場にいる全員がシーンとしてしまい、
異様な雰囲気だったそうです。
正に「力和」のような雰囲気で、いま見ても最高の千代田羅紗と言えます。
この型と葉芸は普通に羅紗としてみても、水準の高いものですね。

これは青友会や第51回日本おもと名品展に展示された頃の姿。
この頃は父ではなく、他の業者さんが展示品として預かり、何日も提籃に入れたまま動いていたそうです。
「1,000万で書い出してこい」という話や「600万で納める話がついた」などという噂もあったらしいですが、笠原(右)氏には売る気は無く、結局1本も殖えずに倒れてしまったそうです。

噂では絶えてしまったという冠松

お次も笠原氏が所有していた千代田羅紗、
「冠松」です。作出者はいわきの大実生家熊谷さんです。
これは葉芸は大したことはありませんでしたが、型と斑に優れていたようで、
やはり小型の千代田羅紗でした。
私も実物を3本ほど見たことがあり、当園にも置いてあったことがありますが、
何とも言えない愛嬌の良さがありました。

これは初めの頃は順調に殖え、登録もされました。
笠原(威)さんが身体を悪くされた頃に3本倒れ、かろうじて生き残っていた1本も最近倒れてしまい、絶種になってしまったようです。

千代田羅紗の今後は?

登録されている千代田羅紗の横綱と言えば「玉松」になります。
袖山功氏の玉松
その頃には「寿松」「春松」なども登録されていますが、「春松」は特に最近見る機会が減ってきました。
「松扇」は人気もあり、数もそれなりに殖えていますが、
同じ作出者で登録された「聖松」はかなりの希少種となってしまいました。

最近でも何種類か登録され、昨年の日本おもと名品展に展示された「羅松」は、斑も登録時よりも冴えて素晴らしい雰囲気がありました。
2018年に展示された「羅松」
千代田羅紗は葉緑素が少ない分、殖やす気持ちを持って芋に力をつけて培養していかなければ、名品はすぐに数が少なくなってしまうことが分かります。

千代田羅紗の実生は千代田斑の入る確率、羅紗が生える確率、葉芸が進んでいく確率などを考えると他のジャンルよりもはるかに難しい世界です。
しかし、まだ未開拓な部分が沢山あり、発展性もまだまだあるジャンルだと私は思っています。
縞羅紗に比べて優秀な実親も少ないので、現在ある千代田羅紗の優秀な実親がこれからの実生家にしっかりと引き継がれていくことを期待します。

コメント

  1. こんばんは。

    順調に葉が伸びたものもありますが、これから期待というものが多いです。
    水やりに肥料に迷うところです。
    まあ、我が家の場合は、枯らさないようにが一番なので、安全策で行こうと思ってます。

    素晴らしい品種ができ、それが残っていくというのは難しいことですね。



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    1. 私は夜間気温25℃を目安に、下回る日には窒素も2~4%のものを2,000倍に薄めて施していますよ。ここ3年ほどそれでやっていますが、芋吹きの鏡の色も良いです。

      今ある銘品たちはその関門を潜ってきたのですから、仕上がれば鑑賞価値が高いのも納得ですね。

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  2. こんな素晴らしい千代田羅紗があったんですね!実に残念

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    1. これらが残っていれば現代でも千代田羅紗のトップにいたと思います。
      私も栄松は実物を拝んだことがないので、一度見てみたかったですね。

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