1月8日 太陽殿の虎

紹介している大葉おもとは日本おもと協会の銘鑑に基づいた品種を指しますが、鹿児島のほうでは葉長が40cm以上のものを「大葉おもと」と見なし、それらは「薩摩おもと」とも呼ばれています。
薩摩おもとの歴史としては、神武天皇が建国の際に「日の草の赤が美栄えてとこたわに 瑞穂の国は栄えまつらむ」と歌ったとあり、繁栄を祈願したとされています。
それほど昔から鹿児島地方では野生のおもとが生えていて、人々に知られていたということでしょう。

大葉おもとの観賞のポイントはその雄大さ、葉姿、そして柄です。
覆輪だけのシンプルなもの、そこに図斑や虎斑が入ったもの、縞覆輪、高隈、曙、白斑…etc
羅紗や薄葉では嫌われがちな、反転による中透けも大葉では十分観賞価値があります。

作に関しては、湿度を保ち、肥料を十分に与えること、そして葉焼けを起こさない程度の効率的な採光が必要で、葉長を伸ばそうと日を甘くしすぎると、腰が痩せてしまい迫力が足りなくなり、徒長によって葉も垂れてしまいます。

『太陽殿の虎』
薩摩おもと系に『太陽殿』という品種がある。
奥谷氏の本によると大正末期に鹿児島県加治木町の松田伝之助氏が命名した『錦江高嶺(きんこうたかね)』を米山慶助氏が加治木町某氏の庭で発見し、それを太陽殿と改名したとされている。(この「高嶺」とは大葉おもとの覆輪の品種のことを指す。)
しかし、太陽殿の命名者である村田道治氏の文献によると、昭和27年12月、米山慶助氏が持参した品を筆者が購入し、ゴッホのヒマワリの絵になぞらえて『太陽殿』と命名、登録したもので、『月輪高嶺』系ではないかとされている。
ストーリーとしては「錦江高嶺」が「太陽殿」に改名されたのが正しいように思えるが、私では判断のしようがない。

その後昭和53年頃、千葉県の小倉利夫氏のところで、その太陽殿に大柄の虎斑が現れた。
それが『太陽殿の虎』である。
太陽殿の黄色がかった深覆輪と独特の淡い緑の地合いに、抜けの良い大柄な虎斑が現れた本種は一見してそれと分かり、実に美しく、観る物を魅了する魅力がある。

室内気温2−11℃
鉢内温度4−12℃
9時頃灌水。

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